部下の育て方

 “自分でやった方が早い病”を知っていますか?きっと、仕事をある程度出来る先輩の位置に立つ方達ならば、この意味が分かると思います。
 後輩や新人に仕事を頼む時、あまりの遅さや理解のなさにイライラ、ハラハラしちゃうという方は少なくないと思います。
 その結果、いっその事自分でやった方が早いと、部下に任せる事なく進んで仕事をしてしまう事をいうんですね。
 これには2つの理由があるそうで、1つは前述した通り、その仕事の下手さなどからやらせたくないと感じてしまうから。もう1つは、自身の性格上人に頼むのが申し訳ない気がして苦手という事みたい。
 確かに、頼んで嫌な顔をされるくらいなら自分でやった方がいいやと思うのも分かります。
 しかし、ちょっと考えてみてください。
 失敗しっぱなしの後輩や新人に、ずっと仕事を任せなかったら、その部下達はいつまでも仕事を覚えられないのではないでしょうか?イライラ、ハラハラもしてしまうのは分かりますが、その部下はいつまでたっても自分から仕事をするという事を覚えないのではないでしょうか?

 これは、いわば子育てと同じ原理だといいます。
 子供が包丁を持ったりハサミを持ったりすると、親はドキドキして「危ない!」とすぐに離してしまいますよね。ご飯を食べたり、着替えをするのが遅かったりするとイライラしてしまい「早くして!」と急かしたくなってしまいます。
 分からなくもないのですが、これも一歩間違えれば過保護だといえるのではないでしょうか?
 包丁やハサミといったものは、ある程度物事を判別出来る年齢になってくると、実は大人以上にその危なさと共に、扱う楽しさを知るといいます。確かに、大人では思いつかないものを作り出したりしますよね。子供はイメージ力の塊ですから、逆に「危ない!」と何でもさせないでいるのは、その素敵な能力を封印してしまっているのかもしれません。
 ご飯を食べたり、着替えをするのが遅かったりするというのは、子供に限った事ではありません。しかし、大人というか人間というのは自分勝手なものさしで物事を計ってしまいますから、そのスピードややり方が少しでも自分と違うとイライラしてしまうのだといいます。
 そこでイライラしない為に必要なのは、それがその人の“個性”なのだという事を自覚する事です。スピードが遅くても1つ1つがとても丁寧な人、声は小さくても間違った事は言わない人など、ついつい悪い面ばかりを先に見てしまいがちな面を“でも”をつけて長所につなぐ事が大事。
 こうして少し自分の考え方をひねってみれば、きっと新しい相手が見えてくるかもしれません。そうすればきっと、全部が全部悪いと決めつける事なく、自分の負荷を増やす事がなくなるのではないでしょうか?